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IT営業とは、情報システムやソフトウェア、WebコンテンツといったIT関連の商品・サービスを取り扱う営業職です。商品・サービスのPR活動や契約した案件の管理、納品後のアフターフォローなど、顧客とのやり取りが主な仕事です。また、実際に商品を作るプログラマーやシステムエンジニアなどの技術者に顧客の要望を正確に伝え、顧客が求めるものを提供できるようマネジメントすることも営業の仕事です。
IT業界の企業は扱う商品・サービスで分類すると、大きく分けて以下の5種類になります。
ソフトウェアとは、コンピュータやスマートフォン上で処理を行うプログラムのことです。例として、windowsやiOSといったオペレーティングシステム(OS)、wordやexcelといったアプリケーションソフトがあります。こういったソフトウェアを扱うのがソフトウェア系の企業です。
ソフトウェアの販売方法には、あらかじめ開発したソフトウェアをパッケージとして販売する方式と、顧客から個別に注文を受けソフトウェアを開発・販売する方式があります。
ハードウェアとは、パソコン本体、ディスプレイ、キーボードなど実体のある部品や装置のことです。他にもスマートフォンやゲーム機、自動車や家電などIT技術が利用されている製品がハードウェアに該当します。このようなハードウェアを扱うのがハードウェア系の企業です。日常生活でも沢山のハードウェアを利用するため、一般消費者にもイメージしやすい分野です。
情報処理系とは、顧客の情報システム導入に必要な業務を総合的に請け負う分野です。情報処理系の企業はシステムインテグレータ(SIer、エスアイヤー)と呼ばれます。SIerの仕事には処理を行うソフトウェアの開発だけでなく、システム運用に必要なコンピュータの調達やデータを補完するサーバーの構築など、ハードウェア部分の仕事も含まれます。
また、導入したシステムの使い方説明やトラブル対応も行います。迅速なサポート対応の為に、技術者を客先に派遣するサービスを提供する企業もあります。
銀行や自治体の業務システムのように、扱うデータ量が膨大・専門性が高い等の理由で既製品では対応できないシステムの開発・運用・保守をSIerが請け負うケースが多いです。
インターネット・Web系とは、Webサイトやネット広告などインターネット上のサービスを提供する分野です。企業のWebサイトや広告制作の他にも、検索サイト、SNS、ショッピングサイトなど一般消費者にも馴染み深いコンテンツを扱う企業もあります。
通信系とは、電話やインターネット回線などの通信インフラを扱う分野です。携帯電話のキャリア会社やインターネットサービスプロバイダ(ISP)などが該当します。最近では新たな通信方式である5Gのサービス提供および様々な分野での活用に注目が集まっています。
IT営業の具体的な仕事を一連の流れにすると、
といったような例になります。
IT業界に限らず他の業界にも共通することですが、営業の仕事はまず、顧客から注文を獲得する所から始まります。客先を訪問する、電話で顧客とコンタクトを取るなどの営業活動を行い、自社の認知度を高めます。営業活動を行う中で顧客から困りごとや今後の課題などを聞くことがありますが、これが注文獲得のチャンスです。顧客の抱える問題を解決する手段として、自社が扱う商品・サービスを提案するという次のステップに進みます。
顧客からヒアリングした事項を整理しながら、顧客と一緒に問題の解決策を考えていきます。その手段として、自社の商品・サービスをどう活かせるのかを顧客へ提案します。必要に応じて提案用の資料を作成し、顧客にプレゼンテーションを行うことも有効です。顧客の合意が得られれば、晴れて契約成立となります。
なお、この段階で顧客の要望を正確にヒアリングしておくことが非常に重要です。なぜなら、納品してみたら顧客の要望を満たさないものであった、という事態が発生してしまう可能性があるからです。
契約を急ぐあまり、顧客との商談をおろそかにしないよう心掛けることが大切です。
顧客との契約締結後、商品を納品する準備をしていきます。システムエンジニアやプログラマーなど技術職の人々に顧客からヒアリングした要望を伝え、納期を守りつつ顧客の求めるものを提供できるよう案件の管理を行っていきます。
営業の仕事は納品して終わりではありません。提供した商品の使い方を説明や不具合発生時の対応など、納品後も顧客との関係は続きます。特にIT関連の商品・サービスは複雑な為、丁寧にサポートする必要があります。アフターフォローを丁寧に行うことで、その顧客から更に注文を貰うことにも繋がります。顧客とは定期的に連絡を取り、長期的な関係を築くことが大切です。
IT営業の仕事は、顧客の抱える問題を発見し、IT技術を用いて解決することで新たな価値を生み出すことと言えます。最初の商談から納品までは長い道のりになりますが、その分無事に納品を済ませ、顧客から感謝の言葉を頂けた時の達成感は大きなものになります。
また、顧客はIT技術に関する知識があまり無いケースが多く、顧客にとっては予想外の方法で問題を解決できる場合もあります。こういった場合、顧客の驚きと感動は更に大きなものとなります。顧客の反応をダイレクトに感じることができるのは、顧客と接する営業ならではのやりがいといえます。
営業の役割は顧客の要望を汲み取り、それを技術者に伝達し、顧客の要望を満たすものを提供することです。
営業の視点で重要なのは「顧客自身でも自分の求めるものを正確に説明できない」という点と「プロジェクトメンバー全員が顧客の説明した要件を間違って解釈している」という点です。顧客と技術者の橋渡しとなる営業の働きによって、このような事態を防ぐことができます。顧客が語った要望をそのまま受け取るのではなく、より良いものを営業から提案できれば顧客が本当に求めるものに近付くことができます。
また、技術者とのコミュニケーションを営業が適宜行い、要望とのズレが無いか確認することで完了まで導きます。顧客の求めるものを正確に汲み取り、顧客自身に本当の要求を発見してもらい、技術者にそれを正確に伝えるコミュニケーション能力が営業に最も必要な能力といえます。
IT営業には、基本的な営業スキルだけでなくITに関する専門的な知識も求められます。商品・サービスの説明をする際や顧客からの質問に答える際など、その場で回答できる営業と持ち帰って後日返答する営業では、前者の方が顧客に信頼されるケースが多くなります。また、技術者と打ち合わせを行う際にも同じ視点で話すことができ、連携がスムーズに行えます。また、工数や納期などをイメージしやすくなり、案件のマネジメント能力の向上にも繋がります。専門知識を身に付けることで、社内外の人々から信頼される人材になることができます。
IT業界で求められる専門知識は分野によって異なりますが、身に付ければどんな分野でも役立つ知識を紹介します。また、業界の最新トレンドを把握しておくことで、顧客へ最新の情報を提供でき、営業活動に役立てることができます。
OSやアプリケーションといったソフトウェア・業務処理システム・WebサイトなどといったIT関連の商品・サービスは全てプログラミング言語を用いて作られています。そのため、プログラミング言語の知識を身に付けることで、商品がどのような仕組みで作られているのか理解するのに役立ちます。
ソフトウェア系であればC言語やJava、インターネット・web系であればHTMLやCSSなど、分野によって要求される言語が異なるため、志望する分野に合わせたプログラミング言語を学習し、経験を積みましょう。
マーケティングとは、顧客のニーズに合った商品を提供するための戦略のことを指します。具体的には、どんな顧客層をターゲットにするか、どんな方法で商品のPRを行うかといったことを考え、自社の商品を最も望ましい形で提供できる戦略を作り上げていくことです。マーケティングスキルはまさしく営業の仕事に必要なスキルといえます。
オーソドックスな訪問営業の他にも、最近ではSNSや動画サイトを利用したマーケティングが盛んに行われていたり、様々な手法が生み出されています。実績のあるマーケティング手法を学習することで、営業活動の幅を広げることができます。
IT業界の最近のトレンドを押さえておくと、就職活動や顧客との話題作りに役立てることができます。最近注目が集まっている技術や社会背景として、「AR(拡張現実)・VR(仮想現実)」「AIの機械学習におけるビッグデータ活用」「コロナ流行によるオンラインサービスの需要増加」などが挙げられます。最新の情報はこまめにチェックし、知識を身に付けていきましょう。
IT営業は営業スキルとITの専門知識の両方が要求される職業ですが、未経験可の求人も多数あります。条件の合う企業に応募し、熱意をアピールできれば採用の可能性は十分にあります。自分の熱意を企業に伝える手段として、先に紹介したIT業界の専門知識を身に付けたり、ITパスポートや基本情報などのIT業界に関連する資格取得にチャレンジしたりすることも有効です。また、他業種の営業職を経験している方は営業の経験が大きなアピールポイントとなります。
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